サンテミリオンの高台に位置し、シャトー・ランジェルス、ボーセジュール・デュフォー、ボーセジュール・ベコなどの銘醸シャトーに隣接し、サンテミリオンでも特別な区画と言われる「ジュラ」を2箇所も有するシャトー!400年以上もの間、除草剤、殺虫剤、農薬、化学肥料などを一切使用せずにワインを造り続けるこれぞ本当のビオ・ワイン!
◆Chateau Coutet シャトー・クーテット
16歳の時からこのシャトーで働き始めたという現当主は14代目のAdrien David Beaulieu(アドリアン・ダヴィッド・ボーリュー)。シャトーの歴史は古く、400年もの間ずっと家族経営でワインを造りを行ってきました。サンテミリオンでは最古の家系となります。おそらく世界でも最も古い家族経営のワインエステートの一つと言えるでしょう。
1601年にリボーン市長のThomas d'Augereau(トーマス・ドージェロー)がシャトー・クーテットの最初の所有者として特定され、それ以降、確かに代々家族に受け継がれています。また20世紀初頭には皇帝ニコライ2世やエジプトの副王領など、世界の偉大なテーブルでサービスされた記録も残っています。
ブドウ畑は、南にシャトー・ベルビュー、シャトー・ランジェルス、北東にシャトー・ボーセジュール・ベコ、シャトー・ボーセジュール・デュフォーに隣接した高台に位置し、ブドウ畑は、60%のメルロー(レッド・テイル)、30%のブーシェ(カベルネ・フラン)、5%のカベルネ・ソーヴィニヨン、5%のプレサック(マルベック)で構成されています。
特にメルロー種は特殊で≪中世時代の赤メルロー≫と呼ばれ、植え替えの際にはセレクション・マサールという、クローン・セレクションではない、原生するブドウ樹の枝を使って増やしていく方法をとります。
また、シャトー・クーテットは特別な区画と位置付けられる「ジュラ」と呼ばれるブドウ収穫の公示日を決める区画を有しています。中世期のサンテミリオン市参事会の重鎮がこの区画にあるブドウの熟し具合や質をチェックし、公示が発せられるとサンテミリオンのブドウ栽培人たちはブドウ収穫を始めることが出来たのです。11の区画がそれを決める基準区画と認定されていて、そのうちの2つの区画がクーテットの敷地内にあります。
◆テロワール ~石灰質土壌が中心でサンテミリオンでも最良の区画~
シャトーは16haの土地を所有し、そのうち約12.5haにブドウ畑があります。主なテロワールは3つ。
①Le Plateau de Saint Martin(約4.5ha)
この区画の最高の区画は“Peycocut”(ペコキュ)で、半分はボーセジュール・ベコ、半分がクーテットの所有となっています。石灰岩の岩盤が直ぐに出てくる土壌で、この区画はサンテミリオンで最も古い区画と言われています。また、例外的な区画と言われ、いわゆる「ジュラ」に認定される、文字通りシャトーが持つ最高の区画の一つです。≪キュヴェ・エミリ、キュヴェ・ドゥモワゼル≫はこの区画のブドウのみで造られています。ちなみにシャトー・クーテットが持つもう一つの「ジュラ」もこの区画の中にあります。
②Cote de Franc(約3.5ha)
重い粘土と石灰質が混ざる土壌。
③Le Pied de Cote(約5ha)
主に砂質の土壌。
AOCサンテミリオンで全体の約70%が砂質の土壌と言われております。それ以外の30%は石灰質土壌で、この石灰質土壌こそがサンテミリオンの名声を高めた素晴らしい土壌と言えるのです。ご覧の通りクーテットの持つ半分以上の畑は石灰質が中心の土壌となります。
◆ワイン造り ~これぞ本当のビオ・ワイン~
クーテットでは400年もの間、ワインの造り方がほとんど変わっていません、つまり400年前から除草剤、殺虫剤、農薬、化学肥料などは一切使用せずにワインが造られています。言い換えると、今現在ビオ・ワインに認定されるために必要な仕様書の基準を、400年も前からずっとサンテミリオンのこの地でクリアーしているという事です。
このような有機的なワイン造りは現代ワイン造りにおける主流となりつつあります。そして、彼らの400年来変わらないワイン造りが現代ではパイオニアとされているわけです。
さらに畑はこの地域の高台に位置しているため、周りがどんなに農薬や化学肥料を使用しようがそれに影響されることはありません。つまり、400年もの間一度も汚染されていない土壌という事になります。そして、この事実は科学的にも証明されたそうです。
また、クーテットの所有する土地には、フランスの他の場所では見られない信じられないほど豊富な種類の動植物が生息しています。野生のチューリップ、野生の蘭、リンゴ、梨、カボチャ、いちじく、その他多くの植物がブドウ畑と共生しています。敷地内に2ha以上の森もあり、400年以上前からすべての動植物との変わらないバランスが保たれているのです。
◆≪La Cuvee Emeri≫ ~200年以上も前の幻のワインが蘇る~
La Cuvee Emeriというクーテットのフラッグシップ的なワインがあります。このワインについて少し説明します。数年前に、一緒に働いている叔父がシャトーの地下室の粘土の床に埋められた200年以上も前のエステートのワインボトル(ヴィンテージ1750年頃)を発見しました。
それは、古いセラーの中でほとんど温度変化のない粘土質の土に埋められており、ガラスの栓で完全に密封され、液面も非常に高くほぼ完ぺきな状態で発見されました。ボトルは手吹きで、青いハート型のガラス栓で封がされている状態です。
おそらくこれが世界中で現存する最古のボルドーワインでしょう。何せ、今までボルドー最古のボトルがあると言っていたとある有名シャトーから秘密裏で買取の打診が来たそうです・・・。この青いハート型のストッパーの意味合いも分かりませんが、おそらくは結婚式など愛の象徴のために造られたものだと推測できます。
そして、アドリアンはこのボトルに最大限の敬意を表し、クーテットで最高の区画のブドウから、200年前と同じ方法で特別なワインを造ることを決意しました。
実際にこのワインが蘇るまで、4年間の歳月を費やしました。専門のガラス吹き工に当時の手吹きのボトルとストッパーをも再現させ、200年前は、ステンレスタンクもなかったので木製のタンクを特注し、トラクターもない時代なので畑を馬で耕すなど、徹底的に200年前の製法を真似て造られました。
収穫後のブドウは70人が2日間かけて一粒一粒手作業で除梗し、こうしてできた幻のワインのファースト・ヴィンテージ2014年はたったの200本・・・手吹きのボトルの為、一年で生産できる量は200~300本程。
◆≪Cuvee Demoiselle≫ ~遂に、幻のワインが我々の手元に~
そして!手吹きのボトルに入りきらなかったワインは【キュヴェ・ドゥモワゼル】の名で通常ボトルに詰められる事になったのです!1750年当時とほぼ同じ製法で造られた“La
Cuvee Emeri”は、通常ボトルに詰められ我々の手元に届けられることになったのです!。